ベトナム戦争で利き腕の右腕を失いながら、その後卓球に夢中になり、国内外の障害者スポーツ大会でメダルを40個以上獲得した男性がいる。ブー・バン・ソアンさんだ。
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ソアンさんは紅河デルタ地方ハイズオン省の村で生まれ育った。1971年に軍に入隊し、1972年の北中部クアンチ省での激戦で、右腕の肩から先を失い、左手と右足にも重傷を負った。1973年に109病院に入院した際には、全身の47か所に傷を負い、体重は29kgしかないほどやせ細っていた。しかし4年間の治療とリハビリで徐々に健康を取り戻し、左手を使うことにも慣れていった。1981年には故郷に帰り、戦争中は民兵だったという女性教員と結婚した。
卓球との出会いは偶然だった。1996年末に村の政府機関が移転することになり、所有していた卓球台をソアンさんの自宅近くの場所に預けていった。ソアンさんは、村人達が卓球を楽しんでいるのを見ているうちに、このスポーツに引かれていった。
ただ、子供の頃から一度も卓球をしたことがないソアンさんには、練習さえままならなかった。へたくその練習相手になるのを嫌がる人が多く、毎日の練習時間は5~10分程度しかなかった。程なくして卓球台は元の政府機関に引き取られていった。