美術学科出身の彼にとって絵を描くこと自体はそう難しくなかったが、画材の選定と制作プロセスの開発には苦労した。「水のように透き通ったアクリル樹脂を作り出すことが、深堀氏の作品のように美しい金魚を描くための第一条件。でも、これがなかなかうまくできず、もう辞めていっそオフィスワークに戻ろうと思った時もありました」と、アインさんは制作活動を開始した当初の悩みを語る。
(C) thanhnien, アインさん |
(C) thanhnien, アインさんの作品 |
(C) thanhnien, アインさんの作品 |
3か月間にわたり努力を重ねた彼は、作品作りに最も適したアクリル樹脂の開発に成功し、本格的な制作活動に入った。器の中に1層目となるアクリル樹脂を流し込み、24時間経ってから固まった表面に1層目の金魚を描く。その作業を何回か繰り返して、最後のレイヤーとなるアクリル樹脂を流し込んだら出来上がり。こうしたプロセスで金魚を描き続け、2013年、ついに作品の商品化が実現した。
作品は全て手作業で、アクリル樹脂を固めながら制作するため時間がかかる。アインさんが1か月で制作できる作品は50~100点だ。最近では国内だけでなく海外にも出荷されており、その芸術性が高く評価されている。