サイズが大きく、文様が多く、ゴツゴツしているものは製作にかなりの労力を要する。手が込んだ文化財を3D化するには多数のデータを集めなければならず、プリントだけで丸1日かかる。色は現物を参照し、サイズも正確に測る上、ホコリや苔も忠実に再現して、本物と「同じ」ものを作ることにこだわる。
(C) tuoitre クアンさん |
(C) tuoitre クアンさんの作品 |
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(C) tuoitre クアンさんの作品 |
ウェブサイトではレプリカを回転させて見ることができ、拡大して細部まで見ることもできるようになっている。クアンさんのこの「オンラインレプリカ美術館」は、これまでにベトナムの様々な年代の多種多様な文化財を紹介してきた。
レプリカの作り方は幼い頃に父親から教わったが、ウェブサイトにデータベースを掲載する技術は全て独学だ。中学2年生の時、彼は家族のために美術工芸品を販売するウェブサイトを制作した。掲載した写真はどれもあまり見栄えが良くなかったため、立体作品をウェブサイトに載せる技術をインターネットで調べ始めた。3D技術に夢中になった彼は同年の夏、両親に自分の興味を突き詰めるため進級せずに学校を辞めたいと申し出た。
「家族中誰もが高校は卒業するべきだ、とか、まだ中学校も卒業していないのに学校を辞めるとは何事だ、と大反対でした。でも当時の私は何よりも自分の作業に没頭している方がずっと好きだったのです」と彼は振り返る。その後はクアンさんの母親をはじめとする家族皆がクアンさんの気持ちを理解し、学校を辞めることにも同意。母親は「今になってみれば、あの子の決心は間違っていなかったと思います」と話す。