フインさんが竹とんぼにかける夢は自分だけのためのものではない。それはまさに同じような境遇にある人にとっての希望であり、生活を支える収入にもなり得るのだ。竹とんぼづくりを習得してドンハー市に戻った彼は、さっそく5人の障害者に作り方を教えた。
(C) thanhnien, グエン・ドゥック・フインさん(左)とミスベトナムのトゥイ・バン(右) |
こうしてフインさんの実家に小さな竹とんぼ工房が誕生した。共同作業は楽しい時間となり、不幸な運命を背負った人たちの口元にも笑顔が戻った。「まだ大した収入にはなりませんが、仕事は私たちに生きる希望と喜びを与えてくれます。自分たちが誰かの役に立っていると感じられるのです」工房で働く職人の一人はそう語った。
経営者になったフインさんにとって、販売先探しはいつも頭を悩ませている問題だという。しかし、幸運にも彼のもとには、彼のことを気に掛ける大勢の友人が集まってくる。その中には、華やかなショービズで活躍する人たちもいる。2008年ミスベトナムのトゥイ・バンもその一人だ。
「私たちの作品は主に外国人向けの土産物屋などに、一つ約3万ドン(約145円)で卸しています。その他にも友人や様々なネットワークを通じて、世界中に輸出しています」フインさんは誇らしげに語る。一つ一つの竹とんぼは小さいが、それは実に大きなメッセージを運んでいる。フインさんたちの夢を乗せて。