毎週日曜日の午後、ホーチミン市1区の統一会堂前で歌を歌ったり、熱く語り合ったり、ときにお面や提灯を作ったりしている青年たちのグループがいる。彼らは「グリーンホープ」の会のメンバーだ。会のリーダーでイベント会社社員のレ・チュン・ハイはこう語る。「ハノイでボランティアグループが活発に活動しているのをみて、自分もやってみたいと思って友人たちにメールしてみたんだ。同じようなことを考えている友人がたくさんいて、会を立ち上げることにした。最初は5人だったのが、10人、20人と増え今では100人を超えるまでになった。僕たちが支援しているのは恵まれない子どもたちだ」
立ち上げから7年、「グリーンホープ」は多くの有意義な活動を行ってきた。貧しい子どもたちに温かいクリスマスを届けるプログラムや、使い終わったカレンダーを集めて盲目の子どもたちの点字練習帳に作り替えるプログラム。奨学金の基金を募るために演芸会を開いたりもしている。
アジア武器死傷者防止基金に勤めるフイン・グエン・ゴック・ミンもまた、苦しい境遇にある子どもたちと触れ合い、ボランティアグループ「ベトナムの地平線」を立ち上げた一人だ。同じ考えのホテルマン、医師、技術者など多くの若者が積極的に参加している。グループはこれまでに南部のいくつかの地方で、子どもたちへの奨学金の授与、健康診断、散髪、薬の支給などを行ってきた。
「はじめはメンバーの大半が学生だったので資金不足が悩みの種だった。それでもなんとか資金集めの活動を行って乗り切ってきた」。「グリーンホープ」のレ・チュン・ハイはそう語る。祝祭日に花を販売したり、支援者や友人に寄付を募ったりした。もちろんメンバー自身もお金を出している。一方「ベトナムの地平線」のゴック・ミンは「はじめはメンバーたちが自分でお金を出し合った。それに疑問を持つ人もいたけど、実際の活動に参加して子どもたちの笑顔を見ると、いつしか皆進んで助けてくれるようになっていった」と振り返る。
「ベトナムの地平線」では、子どもたちとの触れ合いを通じてメンバー同士の結束が強くなったという。誰かが困っていたら他のメンバー全員がそれを支える。「グルーンホープ」のハイはこの活動を通じて生涯の伴侶を得た。「自分の他にもこのグループから2組の夫婦が誕生した。子どもができて忙しくなっても、会が必要とするときは熱心に働いてくれる」。ハイは笑顔でそう語った。