ベトナムとインドを結ぶ直行便の増加を背景に、南中部沿岸地方ダナン市を訪れるインド人観光客数が急増し、同市の外国人観光客上位5か国に仲間入りしている。
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2023年2月現在、◇ニューデリー、◇ムンバイ、◇アフマダーバードのインド3都市とダナン市を結ぶ直行便があり、2022年10月からベトジェットエア[VJC](Vietjet Air)が週に計12便を運航している。
直近3か月にダナン市を訪れたインド人観光客の数は2万人以上に上り、◇韓国、◇タイ、◇米国、◇マレーシアに次ぐ5位に立っている。2022年年初以降に同市を訪れたインド人観光客は累計3万9359人で、2019年に比べて2.5倍近くに増加しており、同市への外国人観光客の多様化に貢献している。
ダナン市を視察したインドの旅行会社ナイン・バケーションズ(Nain Vacations)のヴィピン・ナイン(Vipin Nain)社長は、「空気がおいしく、海も美しく、プロフェッショナルな観光サービスが確保されている。豪華なビーチホテルが数多くあり、富裕層の間では結婚式や重要なイベントなどに人気の場所にもなっている」とコメントした。
旅行会社各社によると、インド人観光客はおおらかで財布の紐も緩いが、食事や宗教の実践に関しては非常に几帳面だという。
しかし、ダナン市、ひいてはベトナムには、インドの多様な文化的・宗教的基準に則した料理を提供できるレストランやホテルが不足しているのが現状だ。特にハラール認証を取得しているイスラム教徒向けレストランの数は極端に少ない。
ダナン市ソンチャー区でインドカレー専門店「インディアン・カレー・ダナン」を営むジャナルダン(Janardhan)さんは、「インド人のゲストは食習慣によって、◇ヒンドゥー教徒、◇ベジタリアン、◇イスラム教徒の3つのグループに大別できる。このうち、豚肉を食べないイスラム教徒のゲストには必ずハラール認証を提示しなければならない。また、牛肉を食べないヒンドゥー教徒やベジタリアンにもそれぞれ専用のスペースを確保する必要がある」と述べた。
先のナイン社長は、「インド人観光客は平均5~7日間と比較的長期で滞在する習慣があるため、インド人の食文化に配慮し、食事で満足させることができなければ観光客を誘致できないだろう」とアドバイスした。
なお、ダナン市当局は、空港に礼拝スペースを設置し、宿泊施設などに対してもインド料理を提供するよう促すなどして、インド市場の観光促進に努めている。