国際労働機関(ILO)ベトナムが2014年~2015年にハノイ市、紅河デルタ地方ハイフォン市、南中部沿岸地方カインホア省、メコンデルタ地方カントー市、ホーチミン市で実施した売春に関する調査結果を発表した。それによると、性的サービスを行う店は推定で16万1000店舗存在し、売春従事者数は推定で10万1300人、そのうち7万2000人が女性となっている。
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売春従事者に対するアンケート調査では73人が回答し、最終学歴は主に中・高卒、年齢は女性が主に25歳以上なのに対して男性は25歳以下の者も多い。女性売春従事者が1日10~12時間に取る客数は平均で6~10人、なかには1日に30人という者もいた。
売春料金は路上やカフェ、カラオケで取る客は安く、ディスコやスパ、高級マッサージ店では高くなり、売春従事女性の平均月収は500万VND~2000万VND(約2万2900円~約9万1700円)、「高級売春婦」では1億VND(約45万8700円)になる。しかし、所属する店や元締め、仲介者などに一定額を支払わなければならないほか、ホテル代や美容代、洋服代などで手取りはぐっと少なくなる。
コンドームの使用を促す売春婦に従う客は少なく、常に性病感染の危険にさらされているほか、客による暴力や窃盗の被害に遭うこともある。また、売春従事者の多くがストレスや疲労を紛らわすのに麻薬やアルコールを使用している。
精神的・肉体的に不安を抱える売春従事者たちだが、差別や偏見、行政処罰を受けることを恐れ医療機関や法的機関に助けを求めることはほとんどなく、このことが売春の実態把握や管理を難しくさせている要因の一つだとされている。