金融市場:外国為替レート
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VNDの対USDの為替レートは2000年代前半はVND15,000/USD~VND16,000/USDの範囲で安定的に推移していたが、リーマンショックが起きた2008年以降USD高・VND安の傾向が続いた。加えて、ベトナム当局を悩ませたのは、中央銀行や商業銀行セクターが提示する公式レートと、市中の両替商やゴールドショップが提示する市中レート(闇レートとも実勢レートとも呼ばれる)の乖離が、時として拡大したことである。
公式レートは実勢レートの動きを追認する形で時間差をもって引き寄せられる。そのため、乖離が続く期間中は実質的に二重レートが存在し、中央銀行や商業銀行の外貨保有高を一時的に低下させる要因となり、大きな問題となっていた。
中央銀行は2016年1月、対USD銀行間為替レート(中銀公定レート)の新しい算定基準を導入した。公定レートの新しい算定方法は、国内の銀行間市場における加重平均レート、国際市場におけるベトナムと貿易相手国、投資国・投資受入国、債権国・債務国との為替レート、マクロ経済の各指標の動き、及び金融政策の目標に基づいて算定される。公定レートは頻繁に調整され、毎日調整されることもある。この仕組みにより、投機筋にとってリスクが増大し、ドルの保有心理が弱まり、長期的な為替レートの安定に寄与している。
前述したように、中央銀行は国内通貨を安定化させるため、2024年に大規模なドン買い・米ドル売りの為替介入を行った。その結果、ベトナムドンの下落幅は周辺諸国と比べてさほど大きくなかった。2024年12月22日時点でのベトナムドンの切り下げ幅は年初比約4.6%であり、韓国ウォンの11.6%、日本円の10.9%、フィリピンペソの6.1%、インドネシアルピアの5.2%を下回っている。
VNDの対USD為替レートの推移