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「戦友の話によると、バン兄さんが加わっていた、東南部地方ビンフオック省でのその年の戦いはとても激しいものだったそうです。爆弾や銃弾が雨のように降り注ぎ、血も骨も皮も肉も、土と一緒になってしまったんでしょう」と、弟のチャンさんは語る。
バンさんの墓は見つからないが、毎日見ることのできる古い写真はある。一方で、トックさんの遺骨は故郷に帰ってきたものの、写真はない。このことで、ガックさんは心を痛めてきた。かつての戦友たちの中にも、トックさんの写真を保管している人はいなかった。
2024年7月、ハイズオン省で行われたプロジェクトの一環として、省青年団とボランティアグループの協力により、バンさんの写真が復元され、家族に贈られた。
グループのリーダーのフン・クアン・チュンさんは、ガックさんのもとを訪問した際、もう帰らぬ息子たちにガックさんが「ごはんよ」と呼びかける姿を目にした。そこでチュンさんは、家族の記憶をもとに、写真のないトックさんの肖像画を描くことにした。
そして2024年8月、トックさんの肖像画が家族に贈られた。しかし、実はその1週間前からガックさん夫婦は暑さで体調を崩しており、ガックさんは息子たちの記憶を語る気力もなく、肖像画を受け取って手に持ったまま、ただ黙っていた。
夫のティエンさんはというと、時折トックさんとバンさんの遺影を眺めては、末の息子に「こっちがバンで、あっちがトックかね?」とたずねていた。
ガックさんの人生最後の夢は、息子たちが帰ってくること、そして息子たちと一緒に食卓を囲むことだ。そこでボランティアグループは、遺影に加えて、食事を前にトックさんとバンさんが両親の隣に座っている様子を再現した絵をガックさん夫婦に贈った。
109歳のガックさんと113歳のティエンさんは、寝床の横に飾ったこの絵を毎日眺めている。そして、意識がはっきりとしているときには、家族皆揃って毎晩食卓を囲んでいたころの懐かしい思い出を、2人で語り合っている。