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キエンさんは、ミンくんが中学1年生(日本の小学6年生に相当)だった2年前の冬、古びたシャツに裸足で教室に入ってきた彼の姿を今でも忘れることができないという。「彼は痩せこけて、寒さに震えていました。それで、授業が終わると私は急いでサンダルと暖かい上着を買いに行ったんです」とキエンさん。
毎年、米の収穫期になるとミンくんは1週間学校を休む。そして田んぼ作業が終わると歩いて学校に行き、家で勉強するために教科書を持ち帰る。家族を養うために学業が中途半端になってしまっているミンくんを心配し、キエンさんは学校での授業が終わるとミンくんのもとへ行き、補講をしている。
ミンくんが通う学校の副校長であるブイ・ティ・タイン・フエンさんによると、学校には526人の生徒がいるが、7割が貧困世帯の子どもたちだという。その中でもミンくんの状況は特に厳しい。以前のミンくんは勉強がよくできたが、片目を失ってからは頻繁に頭痛があり、ひどい時は学校を休まなければならなくなった。
「ミンくんはシャイであまり話しません。毎週歩いて学校に通い、学校までの道のりは遠く足場も悪いですが、彼らは学業を諦めずに頑張っています。両親に代わって弟妹の世話をしているミンくんを見ると、とても気の毒です」とフエンさんは話す。
ある日ミンくんが学校を休んだため、心配したキエンさんはバイクを走らせミンくんの住む地区に向かった。誰もいない家に入ると中には鍋に入ったままの冷えた米しか見当たらず、キエンさんは卵10個と数袋のインスタント麺を買って台所の戸棚に置いた。その日、田んぼ仕事から帰ってきたミンくんは家の中に食料が置かれているのを見て、まだ見える片目を細めて泣いた。
最近、学校はミンくんのために村レベルの障がい者証明書を取得した。これにより、毎月100万VND(約5600円)余りが支給されることになり、ミンくんの残り2年間の中学校の学費の負担は軽減された。
「高校に進学したいと思っていますが、生活がさらに苦しくなるのが不安なんです」と、少年はうつむきながら打ち明けた。