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きょうだいたちの世話をする責任を負ったその日から、ミンくんは米の炊き方を覚え、丘に山菜を探しに行き、食べられるものがあれば持ち買って調理した。「はじめは米の炊き方も知らなかったので、いつも生の米を食べていました。でもだんだん慣れて、今ではご飯も炊けるし、卵や野菜もゆでられるようになりました」とミンくん。学校に行かない日は、朝5時に起きて2人の弟妹に食べさせる米を炊き、それからかごを持って田んぼに行き、水牛の世話をしている。
学期中、ミンくんと弟妹は学校から食事を提供してもらい、肉や野菜もお腹いっぱいに食べられる。生徒たちは月曜日から金曜日の午後まで学校で3食食べて寝泊まりし、日曜日の午後にまた学校に戻る。お金のある家庭の子は親にバイクで送ってもらうが、ミンくんたちは小川を渡り、峠を越えて18kmの道のりを歩いている。
そんな2021年の夏休み、ミンくんは家で水牛の世話をしていた。まだ米の収穫期ではなかったが家の米が尽きてしまい、ネズミを仕留めて食べようと弓を持って森に入った。しかし、不運にも放った矢が岩に当たって跳ね返り、ミンくんの目に直撃した。
ミンくんは目を押さえながら走って家に帰ったが、ただ目の痛みに泣くしかなかった。病院に行くお金もなく、脱脂綿で目を覆っただけで2か月間耐えたが、右目が全く見えなくなり、ミンくんは自分が右目の視力を失ったことに気付いた。
夏休みが終わる2021年8月、ミンくんの担任のホアン・クオック・キエンさん(男性・38歳)が学校に戻るよう伝えに生徒たちのもとを訪れた際、ミンくんが右目を負傷していることに気付き、慌ててミンくんをムオンニェー郡の病院に連れて行った。そこで医師から告げられたのは、すぐに治療しなかったことでミンくんの右目は永久に失明してしまったということだった。それ以来、13歳の少年は片目で生きていくことになった。
学校に行くと「片目の少年」とからかわれ、両親もいない中、ミンくんは一番後ろの列の机の端に1人で座ってただ泣くしかなかった。キエンさんによると、失明した当初、ミンくんはクラスメイトから差別され、クラス替えを望んでいたという。「生徒たちが差別的な考えを改め、ミンくんの置かれている状況を理解できるよう毎日話し、励ましました」とキエンさんは語る。