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そして、補修職人の多くが1日たった数万VND(1万VND=約57円)の収入は受け入れがたく、さらに乾季には1か月も客がいないこともあり、道具をしまい込んで転職していった。ダナン市だけでなく、隣の南中部沿岸地方クアンナム省ホイアン市や北中部地方トゥアティエン・フエ省フエ市などでも雨合羽の補修職人は減っていった。
しかし、ラインさんは、たとえ1日の客が2~3人でも、1日の収入が5万VND(約285円)に満たない日があっても、父親が始めたこの仕事を続けている。客は主に学生や貧困層で、お金をはたいて使い捨てではない雨合羽を購入した人々だ。「私と妹が、おそらく最後の雨合羽の補修職人でしょう」とラインさんは語る。
ラインさんの妹であるレ・ティ・タインさん(49歳)も、ラインさんと同じところで雨合羽の補修をしている。常連客がくれば木炭に火をつけ、客がいないときはガソリンの小売でお金を稼いでいる。姉妹は路上でお金を稼ぎ、収入は2人で分け合っている。
ラインさんの補修屋の常連客であるグエン・ホアイさん(男性・25歳)は、雨合羽が破れるたびにラインさんに補修を依頼している。「ラインさんはとても丁寧に直してくれます。最初にお願いしたとき、古い雨合羽だったのに水が全く滲みなかったので、それ以来、雨合羽が破れるとここに持ってくるようになりました」とホアイさん。ホアイさんはプラスチックごみを減らすことも考えて、使い捨ての雨合羽は使わないのだという。
長きにわたり仕事をしてきた中で、ラインさんは「乾いた雨合羽のみ補修する」という原則を守ってきた。雨の中を出かける途中で雨合羽の破れに気付き、ラインさんの補修屋に駆け込む人もいるが、ラインさんは受け入れない。
「雨合羽が乾いていないと補修用のナイロン片がしっかりとくっつかないんです。濡れているところを補修しても、見た目は良くても、数回も使えばすぐにはがれてしまい、水が滲み込んでしまうんです」とラインさんは話す。
ラインさんは雨の日も晴れの日も、交差点の角に座り、誰かに「ラインさん、雨合羽を直して」と呼ばれるのを待っている。