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否定的な意見にもめげず、ジウさんは自分の意向を通すことにした。そして、台所にこもってフライパンの上であらゆる方法を試し、10kgの砂糖の塊を作るのに1か月近くかかった。自分で作った後は手順を書きとめ、機械の専門家を探して機械を設置し、工業生産に着手するつもりだった。しかし、複雑すぎるとどこからも断られ、最終的に適切な機械を見つけるまでに2年近くを要した。その過程でジウさんは何度もストレスを感じ、自己不信にも陥った。
2020年末、タイの科学雑誌に掲載された研究論文を読んでトットノットの樹液の特性に対する理解を深めたジウさんは、オーストラリア在住のベトナム人専門家から製品の研究に関して協力を得られることになった。研究の結果、適切な方法で乾燥させれば、100%純粋かつ自然の風味も残したパームシュガーになる、ということがわかった。
パームシュガーは地元で一村一品(One Commune One Product=OCOP)の認証を受けている。地元での成功を受け、ジウさんは品質基準が厳格なオランダやフィンランド、英国への輸出の注文を受けるようになった。さらに、取引を促進すべくオランダに支社を開設した。
現在、毎年3.6tのパームシュガーを市場に出荷し、年間売上高は12億VND(約710万円)に達している。売上高は、起業したばかりの2017~2018年と比べて6倍に上る。まだ投資した額は回収しきれていないが、仕事は順調で、長期的なビジネスの方向性も見出し、クメール族の数十世帯の雇用創出にも貢献している。