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西北部地方ソンラ省に住む小学4年生のザン・アー・ソン君は、麻薬中毒の父親から暴力を受け、母親が家出する中で、これまで3年間にわたり母親の帰りを待ちながら弟の世話を続けている。
ソン君は2019年末のある日の朝に、母親から部屋の隅で言われた言葉を今でも鮮明に覚えている。「家でもしお父さんに殴られたら、弟を連れて逃げなさい。お母さんは仕事に行ってお金を稼いでから、2人を迎えに来るから」。
ソン君は、母親は数日で戻ってくると思っていたが、それから3年近く経った現在も、まだ母親は迎えに来ていない。
バンホー郡ロンルオン村ルンサー地域には、ソン君の他にも麻薬中毒の問題を抱えている家庭はあるが、ソン君のように幼いうちから両親の代わりに兄弟の面倒を見なければいけない子供は他にいない。
家庭は元々貧しく、母親が家を出る前の家族は数百m2の広さの田畑と果樹に頼る生活を送っていた。かつての父親は妻子を愛し、真面目に仕事をしていたが、麻薬に手を出してから別人のように人が変わってしまった。禁断症状が出てお金が手に入らないと、両親や子供すらも引きずって暴力を振るうようになった。
ソン君と弟のザン・アー・ヌー君が通う小学校の保護者会会長を務めるザン・アー・パオさん(男性・28歳)が、ソン君の家族の状況について教えてくれた。「ソン君はまだ幼いのに、一生懸命に弟の面倒を見ています。家庭は貧しく、麻薬中毒の父親が子供たちに暴力を振るうので村の誰もが痛ましく思っています。改心して子供たちの面倒を見るよう何度も父親を説得しているのですが、うまくいっていません」。