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センターのグエン・ゴック・アインさんは、トラの餌を準備する。「10時と16時の1日2回、餌をやります。食事は鶏肉3kg、牛肉1.5kg、スペアリブ0.5kgで、金額にして1日100万VND(約5100円)ほどです。個体によって量を調節しています」と語る。餌やりの間、飼育員はトラと一定の間隔を保つ。トラは餌を食べている間が最も攻撃的だからだ。
野生では、インドシナトラのオスの成体は体長が2.55~2.85m、体重が150~200kgで、メスは一回り小さい。約3年で繁殖できるようになり、メスは1回の出産で1~5頭を産む。赤ちゃんトラの体重は1kg程度だ。
飼育下のトラも繁殖能力があるが、センターの面積が限られており檻を拡張できないため、一部のオスは去勢され、メスは避妊スティックが使われている。
「毎朝、個々の檻を回ってトラの名前を呼び、表情を観察し、健康状態を知るために糞を確認します。トラは冬に呼吸器疾患にかかることが多く、夏は下痢や胃の病気、白癬がよく見られるため、予防接種や毎年の定期的な健康診断が必要です」と、チン・ティ・ハン獣医師は語る。
ここ何年も、センターは国内外の多くの組織から野生動物の専門科を招いて経験の共有やサポートを受けており、病気の発見から動物福祉まで、トラの飼育のプロセスに役立っている。
なお、世界自然保護基金(WWF)が2016年に発表した世界の野生のトラに関する報告によると、ベトナムに生息する野生のトラの数は2011年の約30頭(推定)から約5頭にまで減少しており、このままでは数年後に絶滅する恐れがあるという。