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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で愛する人を失いながらも故人の遺影が作れないという家庭がたくさんあることを知り、グエン・アンさん(男性・33歳)は遺影の作成を無料で引き受けることにした。
新型コロナで家族を失った1人であるホーチミン市ホックモン郡在住のラム・ホアン・ティエンさん(男性・31歳、南部メコンデルタ地方キエンザン省出身)は、アンさんのおかげで亡くなった母親の遺影を祭壇に飾ることができた。
ティエンさんは8月の初めに母親を亡くしたが、祭壇を置くことができたのはティエンさん自身の隔離措置が終わった後、母親が亡くなって10日以上が経ってからのことだった。遺影はなく、古いアルバムの中から2011年に撮影した母親の写真を見つけ、間に合わせとして祭壇に飾った。雨風の強い日には部屋に吹き込んだ風で写真が舞い落ち、ティエンさんは心を痛めた。
ティエンさんは、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を眺めていたあるとき、新型コロナで亡くなった故人の遺影を無料で作ってくれるというサービスを目にし、助けを求めてメッセージを送った。
翌日に修整された写真のデータが届いた。外出禁止の措置が講じられる中、地元の民兵の協力を得て印刷屋で遺影を印刷することができた。「これである程度は母の魂も慰められたでしょう。私たち家族も気持ちが少し和らぎました」とティエンさん。
遺影の作成を無料で引き受けているアンさんは、ホーチミン市ゴーバップ区にあるユニフォームのデザイン・制作会社の社長を務めている。遺影の無料作成についてアンさんはこう説明する。「この仕事をすべきかどうか、2週間考えました。遺影を無料で作成するとSNSに投稿すれば、遺族をばかにしていると思われるのではないかと怖かったんです」。