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国旗の縫製工場を開く前、フックさんはまず国旗の刺繍のステップから始めた。ダムさんはフックさんに、「1枚の国旗を完成させるには、まず赤い布の枠に黄金の糸で1針1針刺繍する方法を知らなければならないの。木に根っこがあるように、縫製の職業が発展し、存在し続けるための基盤になるものだから」と話し、機械での縫製もサポートしつつ、手で刺繍する技術も鍛えた。
フックさんは以前、面積54m2もの大きな旗を縫ったことがある。これはベトナムの54の少数民族を象徴するもので、ベトナムの最北端にある東北部地方ハザン省ドンバン郡のルンクー国旗掲揚台に掲げられた。
市場のニーズに応えるため、フックさん夫婦は国旗の縫製に最新の機械を導入し、美しく正確な国旗を生産するとともに、生産性を上げている。
繁忙期には機械で縫う注文だけを受け、刺繍で作る注文は村落の職人たちに仕事を振り分ける。「国旗の刺繍と縫製への情熱は、祖父から両親へ受け継がれたもので、私も大人になってこの職業を継ぐことにしたんです」とフックさん。
新型コロナに伴う社会的隔離措置の適用中は輸送手段がなく、注文も普段の3分の1ほどに減ってしまった。時折、新型コロナの影響を受けていない地域からいくつか小さな注文を受け、ハノイ市の顧客であればフックさんが少しずつバイクで運ぶか、配達員に依頼して輸送してもらっている。
ある日の午後、フックさんの携帯電話が鳴った。話し終わったフックさんは、南部の顧客から500枚以上の国旗の注文が入ったことを急いで家族に伝えた。フックさん夫婦と2人の子供たちは、納期に間に合わせるため、夕食後に再び集まって作業を始めた。