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クイットさんは21年もの間、シーツを縫って貧しい人々に配っているため、針もミシンもはさみも揃っている。マスクを縫う仕事は、クイットさんのように熟練した人にとって難しいものではない。「この国が感染症の流行に直面する中、私には縫製の技術があり、人々に配るマスクを作れるというのは嬉しいこと。疲れなんてありません」とクイットさん。
クイットさんは北中部地方トゥアティエン・フエ省の出身で、かつてはベトナム戦争にも参加し、戦争で夫と息子を失った。少女時代には、兵士が着る服を縫っていたこともある。ベトナムが平和になり、子供たちも成長して生活が安定すると、クイットさんは慈善活動としてシーツを縫い、貧しい人々を助けるようになった。
3年前、まだ健康状態も良かった頃、余った布があるとわかればバイクタクシーに乗って布をもらいに行き、シーツを縫った。縫い終わると、困難な状況にある人がいればその人のもとへ行き、シーツを贈った。ここ数年は身体も弱り、遠くへ行くことはなくなったが、それでもシーツを縫う仕事は今でも毎日続けている。
クイットさんの息子であるボー・クアン・トゥイさんによると、クイットさんはマスクを縫い始めてからいつも夜遅くまで座って仕事をしている。外が明るくならないうちからミシンの音が聞こえる日もあるという。