(C) vnexpress |
南中部高原地方コントゥム省ゴックゴイ郡ダクズック村には、ベトナムの少数民族の1つであるジエ・チエン(Gie Trieng)族の人々が暮らしている。だいたいどの家にも、大きく均一で見た目の美しい薪の山がある。これらの薪は、火を燃やすためのものというだけでなく、女性が嫁入りするときの結納品でもある。
ジエ・チエン族の女性たちは、「夫をつかまえる」ため、結納品となる薪をたくさん蓄えて、健康さと器用さをアピールする。ジエ・チエン族のイー・クウさん(女性・62歳)によると、この風習がいつからあるのかは不明だが、家の庭に少女たちが薪を並べる様子を幼いころから見てきたという。
「昔は、女の子が13~14歳になって恋愛のことを考えるようになると、自分の薪を並べるのに良い位置を選んでいました。これが、女の子が結婚したいと思っているということを家族や親戚に知らせる合図でもあったんです」とクウさん。
女性たちの結婚に向けた薪の備蓄は、数か月から数年にも及ぶ。中には13歳から薪を準備して、20歳を過ぎてから結婚する人もいる。薪を集めていきながら、女性たちは好きな男性とデートをする。将来の夫が決まったら、トウモロコシやサトウキビ、ウリなどの産品を蓄え始める。そして、自分から積極的に意中の人へ贈る。