(C) thanhnien, 2013年のティエン・ニャン君(左) |
2006年7月、ティエン・ニャン君は南中部沿岸地方クアンナム省ヌイタイン郡で生まれてすぐに捨てられ、野生動物に片足と性器を噛みちぎられた。捨てられてから3日後、ティエン・ニャン君は近くの住民に発見され、病院に救急搬送された。
ティエン・ニャン君が生後9か月になったころ、ハノイ市在住のチャン・マイ・アインさんはクアンナム省を訪れ、彼を見舞った。アインさんは、ティエン・ニャン君を見てすぐにこの子を育てたいと思った。そして、アインさんは養子縁組の手続きを終え、ティエン・ニャン君が1歳を過ぎたころにハノイ市へ連れて帰り、家族とともに暮らし始めた。
生まれてからこれまでに、ティエン・ニャン君は9回もの手術を受けてきた。直近では2011年のテト(旧正月)に、イタリアで生殖器の再生手術を受けた。「その年、私と息子、ティエン・ニャンの3人は病院でテトを迎えました。そのとき以外にも、ティエン・ニャンは何度も病院でテトを迎えています」とアインさん。
実の親子ではないながらも13年近く一緒に過ごしてきたアインさんとティエン・ニャン君の深いつながりを、多くの人々が賞賛してきた。アインさんには実の息子も2人いるが、彼女にとって養子か実子かという差はない。
「3兄弟は仲が良く、お互いに大切な存在です。ティエン・ニャンが入院して辛い手術を受けるときも、2人のお兄ちゃんたちはいつもそばにいて面倒を見て、弟を励ましています。ティエン・ニャンは片足を失いましたが、活動的ですばしっこく、賢いんです。あっという間に状況を理解し、走り、スポーツだってします。彼のライフスキルは無敵です」とアインさんは語る。