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[特集]

下半身を動物に噛みちぎられた捨て子の少年、米国で大手術へ

2019/06/23 05:07 JST更新

(C) thanhnien, 2013年のティエン・ニャン君(左)
(C) thanhnien, 2013年のティエン・ニャン君(左)
(C) thanhnien, 2011年のティエン・ニャン君(左)
(C) thanhnien, 2011年のティエン・ニャン君(左)
 2006年7月、ティエン・ニャン君は南中部沿岸地方クアンナム省ヌイタイン郡で生まれてすぐに捨てられ、野生動物に片足と性器を噛みちぎられた。捨てられてから3日後、ティエン・ニャン君は近くの住民に発見され、病院に救急搬送された。

 ティエン・ニャン君が生後9か月になったころ、ハノイ市在住のチャン・マイ・アインさんはクアンナム省を訪れ、彼を見舞った。アインさんは、ティエン・ニャン君を見てすぐにこの子を育てたいと思った。そして、アインさんは養子縁組の手続きを終え、ティエン・ニャン君が1歳を過ぎたころにハノイ市へ連れて帰り、家族とともに暮らし始めた。

 生まれてからこれまでに、ティエン・ニャン君は9回もの手術を受けてきた。直近では2011年のテト(旧正月)に、イタリアで生殖器の再生手術を受けた。「その年、私と息子、ティエン・ニャンの3人は病院でテトを迎えました。そのとき以外にも、ティエン・ニャンは何度も病院でテトを迎えています」とアインさん。

 実の親子ではないながらも13年近く一緒に過ごしてきたアインさんとティエン・ニャン君の深いつながりを、多くの人々が賞賛してきた。アインさんには実の息子も2人いるが、彼女にとって養子か実子かという差はない。

 「3兄弟は仲が良く、お互いに大切な存在です。ティエン・ニャンが入院して辛い手術を受けるときも、2人のお兄ちゃんたちはいつもそばにいて面倒を見て、弟を励ましています。ティエン・ニャンは片足を失いましたが、活動的ですばしっこく、賢いんです。あっという間に状況を理解し、走り、スポーツだってします。彼のライフスキルは無敵です」とアインさんは語る。

 2020年のテトに、ティエン・ニャン君は性器の感覚神経をつなぎ、排尿以外の機能を回復するための大手術を米国で受ける予定だ。

 「米国の医師たちが6月16日にティエン・ニャンを診察し、最も適切な手術の方法を議論しているところです。医師たちが話し合っていると、ティエン・ニャンもじっと耳を傾けて、自分の手術のことを全て理解しています。ティエン・ニャンは、心配も恐れもせず、常にはっきりとした情報を求めている、そういう子なんです」とアインさん。

 ティエン・ニャン君の物語は広く拡散され、障がいを持った子供たちを助けたいという想いを持った多くの人が、「ティエン・ニャンと友人たち」というサポートプロジェクトを立ち上げた。

 「ティエン・ニャンとともに走る」という名のプロジェクトを実施しているハノイ市在住のブイ・フイ・ホアンさんは、資金を集めてティエン・ニャン君と子供たちを支援している。

 ホアンさんは6月16日、ハノイ市のリータイトー像の前を出発し、ベトナム縦断マラソンをスタートした。ホアンさんは1日におよそ70kmの距離を走り、支援の必要な子供たちが新たな人生を送れるよう、多くの人に活動に参加してもらうことを目指している。

 画家や写真家たちも、資金を集めるために絵画やカメラを競売にかけている。ブイ・ゴック・ハイさんが出品したデジタルカメラ「ライカQ」の新品は、1億VND(約45万9000円)の値がついた。

 「皆さんの応援がとても嬉しいです。このプロジェクトがもっと広がり、多くのベトナムの子供たちが生殖器や膀胱、腹部の奇形などの手術を無料で受けられるようになることを願っています」とアインさんは想いを語った。 

[Thanh Nien 08:31 19/06/2019, A]
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