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アニエスさん一家はパリから北東へ車で2時間ほどにあるシャンパンの地として知られるランス市にある一軒家に住んでいる。寝室4部屋に、ダイニングテーブルには家族6人の椅子が置かれている。アニエスさん夫妻は結婚当初、4人の子供を授かることになるとは夢にも思っていなかった。長女を出産後、夫妻は言葉にできない物足りなさを感じ、外国人の養子を迎えたいと考えたという。「私の夫はベトナム人の母を持つ異母姉弟がいたので、ベトナムという国に愛着があったんです」とアニエスさん。
ベトナム人を養子に迎える外国人は複雑な手続きがあり、履歴の証明からベトナム人の養子の外国籍取得まで1年以上がかかる。1998年、アニエスさん夫妻は初めてベトナム人の男の子トゥンを養子に迎え、2001年に女の子ヒエンが、2007年にビーさんが家族に加わった。
医師によれば、医療の進歩により先天性水頭症による子供の死亡率は5%以下まで下がっているが、児童養護施設で困難な状況下で暮らす場合は10歳ほどで死亡することが多い。「あの時フランスへ渡っていなければ、今のビーはなかったでしょう」とビーさんが育った児童養護施設に20年以上勤める職員は語る。
一方、チャンさん夫妻は故郷で日常生活に戻っていたが、誰にも知らせることなくツーズー産婦人科病院へ赴き、亡き娘の遺灰を探したこともあった。「私たちの心は空っぽになり、とても辛い日々でした」と涙を拭う。