(C) An Huy, Thanh Nien |
2006年初めに3区のレクイドン(Le Quy Don)通りを走っていると渋滞にぶつかり、トアンさんはいつものようにバイクを降りて交通整理を始めた。すると、自分と同じように交通整理棒を手に道路に立つグエン・バン・リンさん(44歳)と知り合った。リンさんはこの道11年以上の交通整理のベテランだ。それ以来、市民のためにと同じ志を持つ2人は交通整理について情報交換をする関係になった。
トアンさんは以前、バイクに乗って市内の中でも自宅からもう少し離れた場所まで交通整理に通っていた。しかし、数年前にバイクの盗難に遭ってからは新車を買うお金もないため、自転車で行ける範囲で交通整理をしている。
交通整理を始めた当初は、親類や知人は「お金にもならないことをして」と反対していたが、今ではみんなトアンさんの活動に好意的で、応援もするようになった。交通整理をしていると、飲み物や食べ物をくれる人がいる一方で交通ルールを守らない人や罵声を浴びせる人もいる。
それでもトアンさんが交通整理を止めることはない。「人々のためになることが私の喜びであり、その他には何もいらないんです」。今日もトアンさんはラジオの交通情報に耳を傾ける。