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全ての工程を1人で行っているため、ビンさんのコーヒー豆は1シーズンに300kgほどしかない。一部をホーチミン市内の5つ星ホテルに1kgあたり1000万VND(約4万8309円)で卸しているほか、複数の取引先へ納品している。残りのコーヒー豆を多くの人に楽しんでもらいたいという思いから、この「空間」でコーヒーを提供するようになって1年になる。
コーヒーや料理の準備には手間がかかるが、客の1人ひとりと友人のように直接会話ができるよう人は雇わない。
ビンさんによれば、1975年以前のサイゴンにも同店のような営業形態の店があったが、利益が伸びずいずれも長くは続かなかったそう。「コーヒーで利益を出したいならチェーン展開しなければなりませんが、私には関係のない話です」とビンさんは、今のところ生産量を増やす予定はないという。
しかし、ホーチミンの喧騒を忘れてゆったりとアラビカコーヒーを堪能できるビンさんの「空間」は客らから高い支持を得ている。「ダラットのアラビカコーヒー豆に情熱をかけてきた私にとって、お客様のお褒めの言葉は何よりのご褒美です」とビンさんは語る。