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ベトナムには多様な民族がいるが、民族ごとにその地域の特性や慣習に応じた「美しさの基準」がある。そして、女性たちは色鮮やかな衣装や、頭巾、自歯の加工や耳飾りなど民族独自の美をとことん追究するのだ。それは女性個人の美しさの探究であり、民族としての誇りでもある。一部の民族で実際に行われている慣習を紹介する。
タイ族
「ウエストのくびれ」が美しさの基準とされるタイ族では、女性たちはその細さや美しい曲線を強調するように色鮮やかな腰帯をウエストに巻く。そのため女の子は小さいうちから母親や祖母に腰帯の巻き方を教わる。そして女性たちは自然をモチーフとした花模様の刺繍が施され、縁にフリンジが付いた頭巾を頭に被る。
さらに、頭巾に隠れている髪の毛はタイ族の女性たちにとって非常に重要だ。髪の毛は黒髪で長く多いほど幸福とされ、昔は森の木の葉で洗髪し艶を維持していた。女性が結婚すると、長い髪は夫への貞操を表すものとして、頭頂部でお団子状に結われる。
かつてタイ族の女性にはお歯黒の慣習もあったが、近年の若い女性たちは白い歯を好むようになりつつある。そのため柔らかい草の一種や生のビンロウで歯を磨き、白い歯を維持している。