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母親は少女が小学校1年生の時に家を出て行き、父親は遠くへ出稼ぎに行ってめったに家に帰らない。山地の間にひっそりとたたずむ小さな家には、さまよい身を寄せ合って生きる3人のきょうだいだけが残されている。
少女は朝ごはんを食べるのも我慢して、おんぼろの自転車をこいで学校へ行く。通学路は上り下りの急な坂道だ。貧しい暮らしだが、少女はエネルギーに満ちあふれていて、学校へ行きながら両親に代わって家族を引き受け、小さな弟と妹の世話をする生活を何年も続けている。
この気概に満ちた少女が、東南部地方ビンフオック省ブーダン郡のダンハー中学校に通う中学2年生、12歳のビー・ティ・フエンちゃんだ。
フエンちゃんの家は同郡ダンハー村第4村落にある。フエンちゃんの父親、ビー・バン・チャンさんは病弱で、家族は経済的に特に困難な世帯にあたるため、同村人民委員会は飼育用の牛を支給するなど様々なサポートを行っている。
フエンちゃんの家の中は空っぽで、古い服と変色した鍋が木材を組んだ壁にかけられているだけだ。台所はフエンちゃんの寝床であり勉強場所でもある。がたがたの家で、フエンちゃんは10年前の痛い記憶を今も思い出すという。