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チャウ・ミー・フインさん(42歳、メコンデルタ地方ドンタップ省カオライン市在住)は、14年間にわたり唯一の女性長距離バス運転手としてメコンデルタ地方の各省でバスの運行に携わっている。運転手としてのキャリアは14年間だが、運転手になる前は父親の運転するバスに乗っていたため、バスとの関わりはかれこれ30年近くになる。
フインさんは今、毎日カオライン市とホーチミン市の間を往復している。朝10時頃にカオライン市からホーチミン市のミエンタイ(西部)バスターミナルに到着し、17時頃にはまた客を乗せてカオライン市へ向けて出発する。フインさんが帰宅するのは深夜になってからだ。
1980年代、15歳になったばかりだったフインさんは、母親に代わって父親の運転するバスに同乗するようになり、メコンデルタ地方各省を駆け巡った。女性と言えども自ら車の上によじ登ったり車両を修理したりと何でもこなした。こうした日々の中、父親がハンドルを握る姿を見ながら、彼女はいつか父親のようにバスを運転できるようになりたいと願うようになった。
「一度、サデック市(ドンタップ省)に着いて父親を待っている間、こっそり運転席に座って車を出し、外には出ずに停車場の周りをぐるぐると走ってみました。運転席に乗ってみると振動もあり、車両も見た目より大きく感じましたが、意外と簡単に運転できました」と教えてくれた。
ある時、彼女は1か月間友達の家に遊びに行くと家族に嘘をついて、学校もさぼってとうとう運転免許証を取得し、家族を仰天させた。その頃から父親に代わって客を乗せて運転するようになったという。しかし、初めの頃はフインさんが女性運転手だということで客から文句を言われることもあったそうだ。