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(C) Ngoc Duong, Thanh Nien |オールドマーケット の商人たちの記憶 写真の拡大 |
オールドマーケットで商売をして43年のチャン・ティ・クイさん(65歳)は、22歳の時に嫁いだ先の義父の店を手伝うようになったが、まだ売り場を持っていなかったため空きスペースを見つけては店を広げ、管理者に場所代を払った。
クイさん家族は、他の人が政府から買い、食べ切らなかった缶詰や砂糖、ミルクなどを買い取って商品にしていた。当時のオールドマーケットは今とは違って騒然としていたという。
当時の客は米軍や韓国軍の軍人や、バイクに乗ったベトナム人富裕層で、オールドマーケットは別名「金持ちの市場」と言われていた。
フイン・ティ・キムさん(77歳)はオールドマーケットで商売を始めて57年になるが、かつてオールドマーケット周辺の住民は大半が華僑だったという。そのため、当時は豚やアヒルの丸焼き、豚のモツ料理の店が繁盛していたそう。
また、華僑のカフェではコーヒーを飲む器を選ぶことができた。急いでいる人はコーヒーがすぐに冷めるようにお皿に注いでもらい、時間に余裕のある人はグラスに淹れたコーヒーをゆっくり楽しむ。それが当時の華僑式カフェだったそうだ。
当時、キムさん自身は郊外の農家から野菜を仕入れ、オールドマーケットで売り歩いていた。警察の取り締まりから逃げるため、野菜の入ったカゴを抱えて汽車に飛び乗ることもしばしば。行き交う客のカゴに野菜を詰め込んで、着の身着のまま逃げたこともあったという。
オールドマーケットの閉鎖が決まった今の気持ちを記者に問われたキムさんは、「もう年だから店は止めてもいいんだけどねぇ、とても恋しくなるでしょうね…」とため息をついた。