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日本で建設工事が完了すると、セメントで汚れ、穴の開いた防護ネットは海を渡りベトナムに運ばれる。メコンデルタ地方ベンチェ省の職人たちの細やかな手作業により修繕され、綺麗になったネットは再び海を渡って日本に届けられる。
労働傷病兵社会省傘下のネット修繕技術訓練工場で第3グループ長として働くグエン・ティ・フィー・ニャンさん(女性・51歳)は、工場建設当初から22年間この仕事を続けている。硬くひび割れた手が、彼女の熟練さを物語っている。
この仕事を始めてからしばらくして、ニャンさんはネットの修繕技術の訓練のため日本に行く機会を得て、日本の建設現場を視察した。「一番印象的だったのは、規模の大小を問わず全ての建設現場で、高所で作業をしている作業員や資材の落下防止のために周囲が防護ネットで覆われていたことです」とニャンさん。
この仕事を始めた当初、ニャンさんにとってネットの修繕は穴の空いた部分やほつれた部分を縫い合わせるだけの単純な作業でしかなかった。しかし実際に日本の建設現場を視察し、防護ネットの重要性を実感したことで、ニャンさんの仕事の仕方は大きく変わった。
「彼らは指2本分ほどの小さな穴が空いた防護ネットを持ってきました。そして上から重りを落とすとネットは引き裂け、重りはものすごい勢いで地面に落ちていきました。彼らは、『もしこれが人だったら死んでしまう。もしくは建設用鋼材だったら下にいる人に当たって大怪我を負うだろう』と言いました」とニャンさんは話す。
それからニャンさんは、このネット修繕の仕事は日本の建設現場で働く作業員の命を間接的に守る仕事であり、また作業員の中にはベトナム人労働者もいるかもしれない、という考えを持つようになった。「現在グループのリーダーとして13人の作業員を管理していますが、皆に慎重に作業をしてもらうため、いつもこの話を聞かせています」とニャンさんは教えてくれた。