(C) vnexpress, Manh Tung |
しかし、まだまだ教壇に立ちたいという望みは燃え尽きることがなかった。退職前の1985年、同じく教師で定年を迎えていた親戚と共に、ホーチミン市1区に補習塾を立ち上げた。更に2010年、彼らは7区とフーニュアン区の2か所に拠点を持つ中高一貫校を設立し、自ら2つの学校で教鞭をとった。
ドゥックさんが担当する授業の内容はクラスによって異なるが、主に両親への孝行や教師への礼儀、友人への親愛、学校や社会での振る舞いやマナーについて教えている。中でも彼女が最も力を入れているのは、子としての在り方だという。彼女は常に学生たちに、全ての人の人生において、両親こそが最初の師だと教えている。
「11月20日の教師の日、皆さんは学校の女性の先生達に花を贈りましたね。それでは、ご両親には贈りましたか?」「皆さんは両親がいなくなった時のことを考えたことがありますか?」といった質問を投げかけると、学生たちは心を動かされるのだという。
親孝行について教える時、彼女は一緒に「K+K+T+N」(Kien dinh=強い意志、Kien tri=忍耐強さ、Thoi gian=時間、Niem tin=信念)の公式についても話している。彼女によると、成功というのは、「自らの選択した道に対して揺るぎない意志を持つこと」「目標に向かって忍耐強く進むこと」「時間を大切にすること」「自分を信じること」、この4つの要素の蓄積なのだという。
ドゥックさんの指導の源には、両親への想いがある。子供たちを育てるために苦しい生活を送っていた両親の姿が、幼少の頃から心に深く刻まれているのだ。しかし、彼女自身は家庭を築かなかった。
彼女たちが建てた2つの学校から、多くの優秀な学生が巣立っていった。「天国に近い」年齢となり、学校の管理は同僚たちに任せるようになった。しかし、教壇には人生の最期まで立ち続けるつもりだ。ドゥックさんにとって、「教えること」こそが無類の楽しみなのだ。