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2014年6月、彼女は30人の作業員を雇って30tのライチの皮を剥いた。6か月間にわたり醸造した後、初めて大量生産に成功。しかし、この時はまだ商品をどのように量産していけばよいのか分からなかったので、工場を開くなどの計画はなかった。
「作業員を雇った時点では、単に皮を剝く作業が終わったら賃金を払って終わりと考えていました。ところが多くの人が、『ライチのお酢が市場でもっとたくさん売られるようになるのを見てみたい。だからこれからもここで働きたい』と言ってくれて、考え直しました」。
彼女は、貯蓄のほかに人から約15億VND(約758万円)を借りて資金を工面し、工場の建設や原料、貯蔵タンク、包装資材などの購入に充てた。しかし、国内に天然の酢を醸造する工場が少ないことに加え、ライチを原料に酢を醸造するというのが国内で初の試みだったこともあり、設備探しの面で行き詰まってしまった。
そこで彼女は、既存の設備をライチ酢の生産プロセスに合うよう作り変えてもらうことにした。また、ライチの収穫期が短いという問題について、費用は増えるが、収穫期に多くの作業員を雇って一度に皮むきをし、1年分の原料にする方法をとった。
何よりも難しかったのは、市場開拓だった。教師の彼女に、マーケティングやマネジメント、オペレーションについての知識はない。はじめはスタッフが足りず、同僚たちが夏休みの時期に商品を市場や雑貨店などに持ち込んだり送ったりして、商品の広報を手伝ってくれた。