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現在「フォー24」は北はハノイ市から南はホーチミン市まで、ほぼ国内全域に出店している。さらにはインドネシア、フィリピン、韓国、シンガポールなど外国にも進出している。国内に100店舗、海外に300店舗を展開し、海外で名を轟かす初のベトナムファストフードチェーンになることが目標だ。
1984年に大学を中退し、一足早く19歳で社会に入ったリー・クィー・チュンさんは、ホーチミン市にあるデ・ニャット・ホテルでボーイとして働き始め、その後レセプショニストとして働いた。お客さんと会話することを好み、ある時オーストラリア人ビジネスマンと知り合いになる。これが始まりで、ビジネスマンはチュンさんに接客を学ぶためにオーストラリアに4か月間滞在して英語を学ぶよう勧め、費用を全額負担しようと申し出た。初めチュンさんは驚いたが最後にはオーストラリア行きを決意、ここからフォー24とチュンさんの歴史が始まった。
西シドニー大学でレストラン・ホテルマネジメント学科を卒業した後、グリフィン大学で観光学を学び、チュンさんはサイゴンスターグループホテルの総支配人の職を得て帰国した。その後、アメリカのケネディ大学で経営マネジメントの学位を取得し、アンナムグループ&フォー24の設立メンバー兼総支配人に就任した。
「ホテルの支配人として働いた6年間のうちに、ホテルの経営危機の改善に取り組んだ。ウエディングやカラオケなど様々な新しいサービスを導入し、増収を図った。この経験の中で、自分には経営に関する能力があると確信した。」彼はこう回想する。
彼の強みは、家族が経営する高級料理店系列を自らの事業展開の土台としたところだ。彼が言うには、家族に事業計画を相談している時に、偶然全員一致でフォーにしようということになったのだという。
子供の頃からフォーが大好きで、経営やお金を稼ぐことにも興味を持っていたため、ベトナムのフォーで何かをやらなくては、という気になったのだという。現代人にうけるフォーを作ることができるだろうか? また、どのようにすれば海外へも広めることができるだろうか? ホーチミン市にはそれまでにも有名なフォー屋はあったが、普通の食堂の域を出てブランド化されたものはなかった。
考えては実践し、彼は国内3地方のフォーの味の研究をすることにした。そして1人の顧客として、各店の調理方法や衛生面の問題点を見ていった。かつて誰も考えたことがなかったような規模の潜在的な市場を確信し、彼は伝統と現代の感覚を融合させこの市場を開拓しようと決心した。
どの地域の客も満足させるために、3地方の味を融和させる上で、非常に困難な問題に直面したという。それはフォーが食文化の域に達していて、各地域の人々の生活に深く根ざしているということだった。
試行錯誤の末、3地方の味を出すための24種類の調味料を編み出し、フォー24は遂に誕生した。当初は興味本位の客も多かったが、、次第に市場で認められるようになった。
現在、フランチャイズ店がハノイ市に10店舗、ホーチミン市やその他の地域に30店舗ある。2008年の終わりに出された計画では、フォー24は国内100店舗、海外300店舗のフランチャイズを展開し、マクドナルド、ロッテリア、KFCなど海外のファストフードチェーンのモデルに従って全世界的にチェーン展開することを目標に掲げている。
「初めから海外展開は視野に入れていた。世界中にこの味を届けるためには、特色ある味をカジュアルな形で提供する必要がある。私たちは常に高水準のフォーを提供していくつもりだ。」昔ながらの伝統的な味とは違うのではないかという疑問に対して、チュンさんはこう答える。
またチュンさんいわく、フォー24の真のライバルは、ベトナムでも急速な成長を見せている外資のファーストフードチェーンだという。顧客の層が重なるからだ。「ここで私たちが出遅れたら、ベトナムの若い世代はフライドチキンやハンバーガーばかりを選び、そちらの方が美味しいと思うようになってしまうだろう」。
現在フォー24はベトナムといくつかの国において特許を取得しており、将来的には全世界的に取得していく方針だ。国内の食品衛生規準を満たし、ホーチミン市観光局の規準もクリアした。また3年連続で、有名誌「ザ・ガイドUS」の賞も受賞している。
チュンさんはフォー24の運営の傍ら、全国の大学、高校、観光学科で講演活動を行っている。自らの経験談から、ベトナムの新しいビジネスモデルを学びたいという学生達にビジネスのノウハウを伝授するためだ。
「新商品や新しいサービスの開発も、講演も、どちらにも夢中になってやっています。二つの仕事は関係がないように見えて、互いに補完し合っているのです」とチュンさん。
フォー24の成功はブランド確立の方法を知っていたからだという見方もできるかもしれない。実際のところ、その味が万人に広く受け入れられているという状況にはまだ至っていないし、2万6000~3万2000ドン(約100~125円)という価格も中低所得層からは見れば安くはない。しかしフォー24のブランド確立やその歩みはユニークかつ専門性があり、現代的であると言える。