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息子をベトナム戦争で亡くした89歳の米国人女性ラエ・チェニーさんはこのほど、北中部クアンチ省で地雷除去支援活動を行っている非政府組織(NGO)「ピースツリー・ベトナム」の交流プログラムでベトナムを訪れた。
ピースツリー・ベトナムはチェニーさんと娘のジェリリンさんらが中心になって15年前に設立したNGOで、チェニーさんはこの組織の「魂」的な存在。ピースツリーはクアンチ省での地雷除去支援活動をベトナム政府に初めて許可された団体だ。チェニーさんとジェリリンさんはこの活動を支えようと、米国で支援を呼び掛ける活動に多くの時間をつぎ込んできた。
ベトナム友好団体連盟(VUFO)はこの機会に、チェニーさんとジェリリンさんを含むピースツリーのメンバーらに記念章を贈った。ラエさんは「記念章をいただいて大変光栄です。娘とNGOのメンバーらは支援活動のために何度もベトナムを訪れていますが、私にとっては初めてのベトナムで、どう気持ちを表したらいいのか分かりません」と感激の気持ちを語った。ジェリリンさんもこれまでの親子の活動を評価されたことを喜び、「これからもベトナムの人たちと手を携えて戦争の傷跡を消し去り、未来に向け平和の木を育てていきたいと思います」とコメントした。
ラエさんの息子ダニエルさんは、ベトナム戦争中に21歳の若さで戦死した。ラエさんは言う。「ベトナムには今も多くの戦争の傷跡が残っています。母親たちの悲しみがいかばかりかもよく分かります。しかしその彼女たちこそが、私の悲しみを忘れさせてくれるのを助けてくれました。私はピースツリーと共に、クアンチ省をはじめとするベトナムの人たちのより良い未来のために、さらに努力したいと思います」
ピースツリーはクアンチ省でこれまでに、9万7285個の地雷や爆発物を除去してきた。また、地雷対策教育センター、友好森林公園、地雷被害者や貧困者向けの生活村の建設を支援した。2005年からは、総額4万5000ドル(約370万円)以上の奨学金支給と医療費支援を続けている。さらに、地雷被害者・貧困世帯向けの資金貸し付けや、貧困地域での図書館や幼稚園の建設、地雷除去後の土地での7万本以上の植樹を実施してきた。
ピースツリー・クアンチ事務所代表のレ・ディン・クアン氏によると、ピースツリーは2003年から米国務省のパートナーになったという。ピースツリーの地雷除去活動に対し、米政府は2003年からこれまでに50万ドル(約4120万円)を超える支援を行った。クアン氏は、ベトナム戦争の被害者が何を必要としているか、彼らを助けるために何ができるのかを米国民に広く知らせるため、ベトナムのマスコミはもっと積極的に情報発信する必要があると語った。