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- VPT会長ラン被告、資金洗浄罪でも起訴
- 総額2兆7660億円をマネーロンダリング
- ラン被告は既に資産横領罪などで死刑判決
華人系不動産大手VTPグループ(Van Thinh Phat Group)およびVTPと密接なコネクションがあるサイゴン商業銀行(SCB)における一連の違反事件の裁判に向けて、最高人民検察院がマネーロンダリング罪などで起訴状を発行した。VTP会長のチュオン・ミー・ラン被告(女・68歳)を含む34人が近く裁判にかけられる。
ラン被告はこれに先立ち開かれた別の事件の裁判で、ホーチミン市人民裁判所から資産横領罪などで死刑判決を言い渡されている。こちらの裁判の対象となった事件は、ラン被告が経営支配権を掌握していたSCBを介して国民や企業から資金を調達し、不動産投資などの名目でSCBにVTP系列企業向けの違法融資を行わせ、同行に多額の被害をもたらしたというもの。
今回起訴状が発行された裁判で対象となる事件は、ラン被告らが違法な社債発行を通じて投資家から資金を調達し、SCBの資金を横領して海外に違法送金したというもの。同事件でラン被告は、詐欺・資産横領罪、マネーロンダリング罪、国外への違法な資金持ち出しの罪に問われている。
ラン被告らはSCBの415兆VND(約2兆5800億円)を横領したほか、VTP子会社4社が2018年から2019年にかけて25回にわたり違法社債発行を行い、3万5824人の投資家から30兆VND(約1860億円)を調達して横領した。この合計額445兆VND(約2兆7660億円)が資金洗浄され、このうち45億USD(約7100億円)が国外に違法輸送された。
ラン被告は2011年に、◇SCB、◇ティンギアバンク(Tin Nghia Bank) 、◇フィコムバンク(Ficombank)が統合する形で誕生した新生SCBの経営支配権を掌握。SCBの資本金は2012年1月1日時点の10兆VND(約620億円)から15兆VND(約930億円)に引き上げられた。
ラン被告は逮捕までに複数の個人・企業の名義を介してSCB株85.0~91.5%を保有。SCBの経営には直接参加していなかったが、側近らがSCBの要職を務めていた。残るSCB株は小口株主約4000人が保有していた。
VTPは国内外にペーパーカンパニーを設立する形で1000社以上の系列企業を保有し、ラン被告の指示のもと、SCBは担保資産を審査せずにVTP系列企業に違法融資を繰り返し実施した。この結果、VTP系列企業は債務不履行となり、SCBは多額の不良債権を抱えることになった。検察によると、融資金や利息などを含め、被告らによってSCBが負うことになった担保資産相殺後の被害総額は498兆VND(約3兆0900億円)に上るという。