(C)thanhnien 元科学技術相のアイン容疑者(左)と前保健相のロン容疑者(右) 写真の拡大. |
ベトナム人民軍の軍医学院と地場ベトアー・テクノロジー・コーポレーション(Viet A Technology Corporation、ホーチミン市)から成るコンソーシアムによる新型コロナウイルス検査キットの研究開発(R&D)、評価、流通認可、価格設定、購買調達に関する汚職事件について、公安省機関が捜査を完了し、最高人民検察院に書類を送致すると共に捜査結果を公表した。
公安省機関が捜査を担当した事件では、計38人の容疑者が起訴される。中でも、ベトアー社長のファン・クオック・ベト容疑者(男・43歳)は、競売入札に関する規定に違反し甚大な被害をもたらした罪と贈賄罪で裁判を受けることになる。
また、同社から225万USD(約3億3000万円)の賄賂を受け取った前保健相のグエン・タイン・ロン容疑者(男・57歳)は収賄罪で裁判にかけられる。捜査の結果、同容疑者はベト容疑者に対し「袖の下」を暗に要求していたことが確認された。
このほか元科学技術相で、逮捕までハノイ市共産党委員会副書記 兼 人民委員会主席を務めていたチュー・ゴック・アイン容疑者(男・58歳)は、公的資産の使用・管理に関する国家規定に違反し損失・浪費をもたらした罪で裁判にかけられる。
なお、同事件は、ベトアー社が国の研究(国防省傘下の軍医学院が展開し、科学技術省が承認して資金拠出する国家レベルの研究)の結果を違法に使用して検査キットの製造販売を実施し、検査キットの製造に用いられる原材料や機械設備の価格を水増しする形で生産コストを詐称し、不当な高値で販売したというもの。
同社は2020年4月に保健省から流通認可を取得。2020年から2021年にかけて製品を販売し、1兆2350億VND(約75億円)の不正利益を獲得。不当価格に同意した見返りとして、医療管轄機関の要職をはじめとする関連機関の複数幹部に賄賂を渡していた。
上述の事件も含め、ベトアーの新型コロナ検査キット関連の一連汚職事件では、中央・地方レベルの捜査機関がこれまでに合わせて33件の刑事事件を立件し、容疑者の数は111人に上っている。
ベトナム共産党政治局傘下の腐敗防止中央指導委員会は、事件を重く見ており、捜査を直接監視してきた。同委員会の指導方針に基づき、私利目的で犯罪を首謀・主導・実行した容疑者は厳罰に処すが、上司の命令に従っただけで私利私欲を持たなかった容疑者に対しては、刑事責任と民事責任の免除が考慮される。