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ホーチミン市8区ズオンバーチャック(Duong Ba Trac)通り157番地の路地には、イスラム教を信じるチャム族の人々が多く生活している。
ホーチミン市内にある16のイスラム教区の中で、およそ3000人と最も教徒の多い地域であり、アンワル教区のチャム族コミュニティ管理委員長を務めるハジ・キム・ソーさん(72歳)によると、この地域に住む人はほとんどが、南部メコンデルタ地方アンザン省チャウドックにルーツを持つ、1960年代に移り住んできた人々だ。昔はこの地域の土地が安かったため、ここで人々が生計を営むようになり、だんだんとコミュニティが形成されていったのだという。
「街」の中心はモスク「ジャミウル・アンワル(Jamiul Anwar)」。1966年からあるモスクで、2006年に現在の建物に建て替えられた。
イスラム教徒は1日5回、決まった時間にこのモスクで礼拝をする。礼拝堂の中で祈りを捧げることができるのは男性のみで、ラマダン月(イスラム教徒の断食月)にのみ、女性も入ることができる。
この地域の人々は、外出する時、礼拝をする時に伝統衣装を着用するなど、独自の文化を維持している。女性は自宅にいる時も、外出する時も、スカーフで頭を覆う。ソーさんによると、昔はイスラム教の女性が外出することは稀で、外出時には大人か夫が付き添っていたが、今は緩やかになったという。
この地域の家庭の職業は様々だが、小商いをしている人が多い。生活必需品のほかに、チャム族伝統の食品やハラール食品(イスラム教の戒律によって食べることが許された食品)を扱っている。
チャウドックから移り住んで5年になる女性アイサルさん(52歳)は、この地域でチャム族やメコンデルタ地域のお菓子を販売している。「都会での暮らしは田舎より窮屈ですが、商売はしやすいです。朝から昼までで毎日20万VND(約1200円)の稼ぎになります」と話した。
その近くに住む男性アリさん(58歳)は、自宅の軒先で雑貨を商う。いつも伝統衣装を身につける彼は、この地域への移住者の第1世代であり、すでに子、孫と3世代になった。
女性サキナさん(32歳)は、幅2mにも満たない借家で子供に勉強を教えていた。父親とこの路地で暮らして10年、食べ物を売って生活している。「イスラム教の子供たちは、ベトナム語のほかに、チャム語を勉強するんですよ」と彼女は話した。
イスラム教を信じるチャム族の人々はホーチミン市におよそ1万人。主にビンタイン区、フーニュアン区、1区、6区、8区内の15のエリアに集まって暮らしている。