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南中部高原地方ダクラク省クークイン郡(huyen Cu Kuin)で11日早朝、小銃などで武装した2つのグループが、エアティエウ村(xa Ea Tieu)とエアクトゥル村(xa Ea Ktur)にある共産党委員会や人民評議会、人民委員会の庁舎を併設した施設を同時に襲撃した事件で、13日午後6時までに逮捕者は45人に増えた。
同事件では、複数の警察官や公務員、住民らが襲われ、このうちエアティエウ村とエアクトゥル村の警察官4人、エアティエウ村のグエン・バン・ズン共産党委員会副書記 兼 人民委員会主席、エアクトゥル村のグエン・バン・キエン共産党委員会書記 兼 人民評議会主席の計6人(いずれも男性)が殉職した。
地元住民3人が殺害され、警察官2人が重傷を負った。人質にされた住民3人のうち、2人は警察によって救出され、1人は自力で脱出した。
これまでの捜査によると、容疑者らは3日から6日にかけて同省在住の「イー・ソム」と名乗る人物から電話を受け、海外移住と1億VND(約60万円)の補助金支給を交換条件として、クークイン郡に集合するよう言われた。これを信じたダクラク省と南中部高原地方ザライ省在住の50人以上が、6日から10日にかけてクークイン郡の畑にある小屋に集合した。
容疑者らは小銃や刃物、火炎瓶、手榴弾などを渡され、11日午前1時ごろに2つのグループに分かれてエアティエウ村とエアクトゥル村の庁舎を同時に襲撃した。庁舎内に押し入ると、銃や手榴弾で攻撃し、火炎瓶で施設を放火した。
容疑者らはその後、外に移動し、路上で通行人5人を小銃や刃物、火炎瓶で殺害した。この5人には、エアティエウ村のズン共産党委員会副書記 兼 人民委員会主席、エアクトゥル村のキエン共産党委員会書記 兼 人民評議会主席の2人が含まれる。2人は襲撃の通報を受けて、庁舎に向かっている途中だった。
当局は引き続き逃走した残りの容疑者の行方を追っている。ダクラク省の住民の生活は通常に戻っているが、当局は引き続き各ルートに検問所を設置し、警戒を強めている。
なお、南中部高原地方は、少数民族による反政府組織「フルロ(FULRO=Front Unifie pour la Lutte des Races Opprimes=被制圧民族闘争統一戦線)」の活動地域だったことで知られる。フルロは、少数民族が多い同地方で、独立運動を起こすべく1964年に結成された。
フルロは、ベトナム共和国(1955年~1975年に軍事境界線(北緯17度線:現在の北中部地方クアンチ省に位置)以南に存在した国家=南ベトナム)時代から独立を企てていたが、南北統一後も運動を続け、1992年に解散。組織のメンバーらは、難民として米国に移住したとされる。
その後、反政府組織「正義主張山岳地帯人民(Montagnards Stand For Justice=MSFJ)」が、フルロの元メンバーやその関係者とコネクションがある者らによって2019年に新たに結成され、現在も独立運動を続けているが、今回の事件との関連性は不明だ。