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ベトナム人民軍の軍医学院と地場ベトアー・テクノロジー・コーポレーション(Viet A Technology Corporation、ホーチミン市)から成るコンソーシアムによる新型コロナウイルス検査キットの研究開発(R&D)、評価、流通認可、価格設定、購買調達に関する汚職事件で、ハノイ市保健局傘下の疾病管制センター(CDCハノイ)のチュオン・クアン・ベト所長(男・49歳)が10日に緊急逮捕された。
ベト容疑者は、「競売入札に関する規定に違反し甚大な被害をもたらした容疑」で捜査を受けている。同容疑者はCDCハノイの副所長を経て、今年2月に所長に昇格したばかり。同容疑者は、ベトアー社のみが落札できるように入札の募集書類を操作し、国に90億VND(約5200万円)の損失をもたらしたとされる。
ベト容疑者は、2020年12月に開かれたCDCハノイにおける新型コロナウイルス検査設備調達に関する汚職事件の裁判で、禁固10年の判決を言い渡されたCDCハノイ元所長のグエン・ニャット・カム被告(男)の後任。この事件は、被告らがCDCハノイにおけるリアルタイムPCR法(遺伝子増幅法)による新型コロナウイルス検査装置の調達で、取引価格を談合により水増しして国に甚大な損失をもたらしたというもの。
なお、公安省傘下の密輸経済汚職犯罪捜査警察局(C03)と各省・市の警察は、新型コロナ検査キットを巡る汚職で、事件が発覚した2021年12月から現在までの半年で容疑者60人以上を逮捕している。
逮捕された容疑者には、ベトアー社の役員のほか、元科学技術相で逮捕までハノイ市共産党委員会副書記 兼 人民委員会主席を務めていたチュー・ゴック・アイン容疑者と前保健相のグエン・タイン・ロン容疑者をはじめとする科学技術省と、保健省の複数の幹部や、複数省・市の疾病管制センター・公立病院の幹部などが含まれる。
公安省の捜査によると、ベトアー社は2020年から2021年にかけて全国63省・市のうち62省・市の疾病管制センターや医療施設などに製品を販売しており、売上高は4兆VND(約230億円)に上った。ベトアー社は検査キットの製造に用いられる原材料や機械設備の価格を水増しする形で生産コストを詐称、不当な高値で販売し、この価格に同意した見返りとして、疾病管制センターや医療施設の長に合わせて約8000億VND(約46億円)の賄賂を渡していた。
なお、国防省の捜査機関も同事件の捜査を進めており、これまでに士官2人を逮捕している。