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4月25日朝7時、ハウさん(22歳)は、扇風機のガードで自作した「バックパック」を背負って、職場であるハノイ市のホアロー収容所に向かった。
この日、一風変わったカバンを片手に職場にやってきたのは彼女ばかりでなく、同収容所遺跡管理委員会の幹部・職員25人全員であり、「今日はみんな、カバンじゃなくハッピー提げてやって来ました」とハウさんが笑った。
この日は、同収容所遺跡管理委員会の広報部門が企画した「ノーバックパックデー」。ルールは、各部門の長以下全員が、カバン代わりになるものを自作して出勤せよ、というものだったが、「誰ともかぶらずオリジナリティあるもの」という注文が、皆の頭を悩ませたようだ。
この要求に応えるためにハウさんは、弟とともに、扇風機の羽の周りのガードを取り外し、清掃した上で、紐をつけて、デコレーションを施した。ほかにも弁当箱、押し車、スイカの皮、電気ケトル、ギターなど、みな思い思いのカバンでやってきて、初開催となったこの日、先に来た人はみな、後から来る人がどんなカバンでやってくるものかと、ゲート前で待ち構えた。遺跡職員の愉快な通勤姿に道行く人も興味津々、「みんな笑ってくれて、楽しいですね」とハウさん。
同収容所の幹部は、スタッフのモチベーションアップのための取り組みで、「準備に時間がかかるでしょうが、楽しい雰囲気を作り出すことが大切でした。創造力も掻き立てられたようで、幹部、職員また観光客にも好評でした」と話した。
この日の昼に同収容所が催しの写真をフェイスブック(Facebook)のファンページに上げると、数万件の「いいね!」とコメントが寄せられた。
この日の午後、ハノイ市タイホー区に住むバオさん(20歳)は、友人らと収容所見学にやってきた。自然科学大学に通う彼は、学校での同じようなイベントに参加したことはあったが、オトナたちが、特に史跡の職員のような人々が、こんな若者のような遊びをするのを見るのは初めてであり「大成功ですね!僕らみたいな若者がたくさん見学に来たんですから」と話した。
ハノイ市中心部にあるホアロー収容所は、フランス植民地だったベトナムの独立を求めて戦う政治犯を収容・拷問・処刑するためにフランス政府が1896年に建設した監獄。ベトナム戦争中には米兵の捕虜収容所としても使用され、皮肉を込めて「ハノイヒルトン」と呼ばれた。
職員たちの「カバン」の写真はホアロー収容所のフェイスブックページで紹介されている。