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ハノイ市ホアンマイ区ルオンカインティエン(Luong Khanh Thien)通りの路地にある民家で12日正午ごろに火災が発生した。あたり一面に黒煙がもうもうと立ちこめるなか、地域住民が消火を試みるなどして周辺は一時騒然となった。
火災が発生したのは、ブー・マイン・クオンさん(男性・70歳)宅で、トタン板を外壁に使った古い3階建ての民家だった。
「まだ2階に人がいる!」
昼食時に火災発生を知って皆と一緒に消火作業に当たっていた隣人のチュン・バン・ナムさん(男性・34歳、北中部地方タインホア省出身)は、誰かがそう叫ぶのを聞くと、すぐさま木に登って隣家の屋根に乗り移り、屋内を確認した。
「おじさん、助けて」
かぼそい声をあげたのは、熱さと煙でぐったりしたクオンさんの14歳の孫娘だった。窓には柵が付いていたため、ナムさんは渾身の力で柵を蹴り壊し、少女を救出した。2人はその後、現場に到着したはしご車によって地上に運ばれた。病院に緊急搬送された少女は手足にやけどを負っていたものの、命に別状はなかった。
クオンさん夫婦はこの家で、6年前に両親を亡くした孫娘2人と一緒に住んでいた。火災発生直後、夫婦がベランダで食器洗いをしていたとき、下の孫娘(6歳)が外に飛び出して「火事だ!」と叫んだが、てっきり子供の冗談だと思ってしまった。
なお、火災発生の原因は漏電によるもので、電気設備から火が上がり、燃え広がったと見られている。
クオンさん夫婦は警備員と行商の仕事で生計を立てており、老体に鞭打って孫娘2人を育てている。家財が火災で焼却してしまったクオンさん一家に対し、隣人らは服や寝具、家具を寄贈するなどの援助を申し出たとのこと。
少女を救出したナムさんは、エアコン修理士で、同じ路地にある部屋を借りて暮らしている。ナムさんは、「気づけば体が動いていた。あの場面で人を助けようとするのは当然のことだ」と語った。