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出稼ぎ労働者が多いベトナム東南部では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の国内第4波の影響で、経済活動が深刻なダメージを受けている。これにより、工場の操業停止や各種営業施設の閉鎖で失業を余儀なくされた人々が、バイクで故郷に帰省している。
最近、ベトナムを南北に縦断する国道1号線の至るところで、地元住民が道路脇にブースを設置し、帰省する人々に飲料や食べ物、ガソリン、マスクなどを差し入れする姿が見られる。
チャン・フエさん(女性・41歳、南中部沿岸地方ビントゥアン省ファンティエット市在住)もこの数日、地元住民と一緒にバックファンティエット・ロータリーにブースを構えて、帰省する人々に現金を配っている。
支援グループは、看板を掲げて帰省する人々を誘導し、山のような荷物をバイクに載せた人が立ち寄ると、パンや飲み物の差し入れしている。そんな中、フエさんは毎回自腹で50万VND(約2400円)を手渡している。フエさんは運転手が来ると、慌てて紙幣を手渡し、運転手の反応を待たず、すぐに自分の椅子に戻っていく。
決して身なりがいいとは言えない見ず知らずの他人に、いきなり高額紙幣を渡されて戸惑う運転手も多いが、長旅で帰省する自分たちへの心付けだと理解すると、涙を流す人もいる。
サンダル履きで、ジャージを羽織り、日に焼けて痩せこけた中年女性が、バイクでの長距離移動で疲れ切った人々に現金を手渡す様子を撮影した動画がインターネットに投稿されると、各方面から感謝の声があがった。
フエさんは南中部沿岸地方ビンディン省出身で、10年前にビントゥアン省に移り住み、現在はファンティエット市の魚港で働いている。
フエさんは、「人の世は情けのかけあい。生活に不自由がなく、借金もないのなら、余ったお金は困った人のために使うものよ」と語った。なお、フエさんはコロナ禍で仕事がなくなった地元の宝売りの生活も支援しているという。