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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により社会的隔離措置が適用されている南中部沿岸地方ダナン市で、有志の配車アプリのタクシードライバーによる無料の妊産婦送迎サービスが始まった。発起人のチャン・ゴック・ブーさん(29歳)に賛同した60人以上のドライバーが活動に参加している。
妊産婦送迎サービスのメンバーのブイ・ハン・スーさんは5日夜、寝ようとしていたところに電話が鳴った。電話をしてきたのは妻が破水したと慌てた様子の男性。スーさんは夫妻の家まで車で向かった。夫妻はスーさんの電話番号を以前から知っていたが、出産予定日まで日数があり給料日前だったため給料が入ってから病院へ行こうと思っていたとのこと。
夫妻を病院へ送り届けると、スーさんは夜中まで車内の消毒作業に追われた。「多少は疲れますが、病院に着いてから20分後に3200gの元気な男の子が生まれたとメッセージをもらい、意義あることをしたなと思います」とスーさんは笑う。
有志メンバーのリーダーであるブーさんは、同市で新型コロナの感染が拡大するとすぐに友人らに声を掛け、困窮者や医療従事者向けに食糧の寄付を募った。病院への必需品の輸送も引き受けた。
活動の中で、ブーさんはお産を控えた妊婦が産気づいたらどのような交通手段でどの病院へ行けばいいか分からないと話すのを聞いた。7月28日にブーさんは友人3人とグループを発足、フェイスブック(Facebook)に活動の詳細を公開すると、情報は瞬く間に拡散された。
8月1日にグループ発足後初めて妊婦を病院まで送迎した。その日は妊婦の出産予定日だったが、産気づいてから救急車を呼んでも市街地から20km離れた自宅まで来てもらうに時間がかかるため、どうしたものかと困っている時にグループのページが目に留まったという。
妊婦の母親は「ブーさんに電話すると10分後には迎えに来てくれ、荷物を車に積むのも手伝ってくれとても助かりました。ガソリン代も受け取らず、退院するときにはまた呼ぶようにとまで言ってくれました」と感謝しきりだ。
ブーさんたちの活動を知ったドライバーから活動に参加したいという声も多く届き、現在ではメンバーはダナン市と南中部沿岸地方クアンナム省で60人超に上る。これまでに50人の妊婦を病院へ安全に送り届けた。グループはダナンタクシーが営業を再開するまでサービスを継続する計画だ。
ドライバーと妊婦、同乗者の安全を確保するため、新型コロナ対策として妊婦も乗車前にはマスクの着用と手指の消毒をすることとしている。