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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患し重症化したベトナム航空[HVN](Vietnam Airlines)の英国人パイロット(男性・43歳、国内91人目の感染者)が肺移植でしか助からないとの連日の報道を受け、14日午前までにベトナム人10人が自分の肺の一部を使ってほしいと申し出た。
この中には、慈善活動に携わる40代の女性や70代の退役軍人の男性などが含まれる。見ず知らずの英国人男性を助けたいと思った理由について、この女性は「これまで多くの人々からたくさんの愛をもらって生きてきた。その愛を分かち合い、人を助けるのは当然のこと」と話した。また、退役軍人の男性は「誰かを助けたいと思うのは人の世の情け。こうした行いは、ベトナムという国が世界から信頼されることにも繋がる」と述べた。
保健省医療評議会はこれに先立ち7日に開かれた会合で、英国人男性患者の肺移植を検討中であることを明らかにした。ベトナムの医療機関は生体肺移植のドナーを申し出た10人の意思を尊重しながらも、まずは脳死ドナーから適応例を見つけたいとした。数日前に、脳死ドナーが見つかったものの、精密検査の結果で肺に感染症が見つかったため、使用を断念した。
英国人男性患者は現在、ホーチミン市の熱帯病病院に入院中だが、既に1か月以上にわたって体外式膜型人工肺(ECMO)治療を受けている。父母も妻子もなく、英国にいる叔母が唯一の肉親だという。
この男性は免疫系が暴走するサイトカインストーム(サイトカインが過剰に産生され、正常な細胞まで攻撃してしまう免疫反応)を起こしており、肺は線維化し、約10%しか機能していない。ドナーが見つかって諸手続きも済めば、ホーチミン市チョーライ病院に転送され、手術が行われる見通しだ。