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「余っている人はください、必要な人はご自由にどうぞ」と描かれた看板を掲げたキャビネットが、ハノイ市の各地に出現している。衣類や履物が余っている人はこのキャビネットに置いていき、必要な人は無料で自由に持ち帰ることができる。
こうしたキャビネットは2年ほど前から病院付近や労働者が多く住む地域に設置されるようになった。現在ではバーチエウ(Ba Trieu)通り226番地やタイハー(Thai Ha)通り79番地など、市内9か所に置かれている。
キャビネットの中は性別や衣類・履物の種類ごとにラベルが貼られており、幅広い年齢層の有志からの寄付により衣類の種類も豊富だ。
「衣類は古着ですが、寄付するまでに状態が良くまだ使える物だけを選んで持ってきています。少しでも人々の手助けになれば」と衣類を寄付しに来た女性は語る。
キャビネットに衣類をもらいに来た、病院に子供が入院しているという父親は「子供が生後40日で大腸疾患の治療のために入院しました。全財産を治療費に充てましたが足りず、毎日の食事も寄付に頼らざるを得ません。ハノイも寒くなってきましたが、服を買い足すお金もないのでこちらに来ました」と打ち明けた。
「思いやりのキャビネット」は、時に困難な生活を送る人々が暖かいコートと思いやりを受け取りに来る場所であり、時に寄付をする人々が他人の役に立つことに意義や喜びを感じる場所でもあるようだ。