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情報通信省傘下で携帯通信大手のモビフォン(MobiFone)が、デジタルテレビ放送サービスを提供する地場オーディオ・ビジュアル・グローバル(Audio Visual Global=AVG)株95%を購入し、多額の公的資産損失をもたらした汚職事件で、政府調査機関は14日、調査結果の詳細を公表した。
政府調査機関は「極めて深刻な事件」として、グエン・スアン・フック首相に対し、公安省に書類を移管して刑事事件として立件し、違反者の処分を指導するよう要請した。また、共産党中央検査委員会に対し、同事件に関与した政治局と書記局の管理する幹部を処分するよう要請した。
同事件は、AVGが企業価値評価で大幅に水増しされ、モビフォンが同社株95%を実質的な価値を大きく上回る8兆8898億VND(約420億円)で購入したというもの。モビフォンは売却側に取引額の95%を支払った。
政府調査機関の調査結果によると、AVGは設立から企業評価時点の2015年3月末まで継続して赤字を計上しており、同時点での累積赤字は同社資本金の45%に相当する▲1兆6320億VND(約▲77億円)だった。総資産は3兆2600億VND(約154億円)、負債総額は1兆2660億VND(約60億円)。AVGの財務状況は極めて脆弱だったが、モビフォンは情報通信省から承認を得た上で、AVGの買収を決定した。
モビフォンは、ベトコムバンク証券(VCBS)とAMAX評価投資コンサルティング(AMAX)の2社をコンサルタントとして違法に選定し、企業価値評価を依頼した。2社から信頼性の非常に低い評価結果を受け取ったにもかかわらず、AMAXの評価結果を承認し、買取価格の根拠として使用した。AMAXの評価結果では、AVGの企業価値は政府調査機関の評価結果の8倍にあたる16兆5650億VND(約780億円)にも達している。
モビフォンがAVGの買収を全て自己資本で賄い、契約締結から代金支払いまでの期間(2015年12月28日から2016年1月15日まで)も非常に短いこと、企業買収が機密情報でないにもかかわらず、情報通信省が公安省に意見を仰いで関連情報を機密情報として取り扱い、政府調査機関からの情報提供の要請に応じなかったことなどにも不正の形跡があると結論付けられている。