メコンデルタ地方バクリエウ省ザライ郡ドイ村で最近、がんによる死者が続出、保健当局もその原因がつかめず、村人らは恐怖と不安の中で暮らしている。ドイ村には約200世帯が住んでいるが、過去5年間に30人以上ががんで死亡、またはがんを発症しているため「がんの村」と呼ばれている。
ザライ郡予防保健センターのバン・キエン所長によると、村人は、咽頭がん、前立腺がん、肝臓がん、乳がん、喉頭がん、白血病などにかかって死亡しているが「その原因はまだ分かっていない」という。しかしベトナム戦争当時この村が軍用基地だったことから、各種の火薬や化学薬品が1975年以降も放置され、村人が毎日使用する地下水に浸透したのではないか、と指摘されている。ただし今のところ、この仮説を検証する手立ては講じられていない。
同省保健局のグエン・ミン・トゥン副局長は「ドイ村のがんの大発生は異常事態だ。深刻に受け止める必要がある」とし、同省の枯葉剤被害者の団体と協力して、同村の地下水や土壌のサンプルを早急に取って検査すると語った。
ベトナムでは毎年15万~20万人のがん発症が報告されている。しかしホーチミン市チョーライ病院腫瘍科のレ・トゥアン・アン科長は、病院で治療を受けていない多くの患者は報告リストに含まれていないとし、「この数字は氷山の一角にすぎない」と語った。