(C) tuoitre, チュー被告 写真の拡大. |
シンガポール裁判所は11月30日、買い物客に違法な高値で携帯電話を販売したとして詐欺罪に問われていた携帯電話ショップの店主ジョバー・チュー(Jover Chew)被告ら5人に禁固4~33か月の判決を言い渡した。
チュー被告は、シンガポールにあるシムリムスクエア(Sim Lim Square)内の携帯電話ショップ「モバイルエア(Mobile Air)」を営むオーナー。今回判決を受けた5人全員が2014年に同店で起きた詐欺事件に関わったとされる。この詐欺事件については、シンガポールを旅行中だったベトナム人男性が被害に遭ったことで、ベトナムでも大きな話題となった。
被告らは、英語の分からない買い物客をターゲットにして、英語の契約書にサインをさせてから、携帯電話の本体価格に加えて高額な保証金を追加で支払うよう求め、「この追加料金を支払わなければ携帯電話本体も渡さない」と脅迫する手口で、携帯電話を高値で押し売りし、ベトナム人を含む被害者26人から金銭を騙し取っていた。
騙し取った金銭は、60%をチュー被告が、残る40%を店員らがそれぞれ取り分として得ていた。チュー被告は既に被害者26人に対し8600USD(約106万円)の賠償金を支払っている。裁判所は、同被告が取り調べに素直に応じ、反省の意を示している点などを酌量して、検察側の禁固36か月という求刑よりも軽い量刑を科した。主犯格のチュー被告は禁固33か月、共犯の店員4人は禁固4~14か月の判決だ。
なお、詐欺被害に遭ったベトナム人のファム・バン・トアイさんは、彼女の誕生日を祝うためにお金を貯めて2人でシンガポールを旅行し、プレゼントとして同店で「iPhong 6」を購入した。しかし、容疑者らの手口にまんまと引っかかり高額な追加料金の支払いを求められた彼は、泣きながら頭を下げて既に支払った分の返金を懇願。結局、iPhone 6を手に入れることもできず、支払い済みの分も一部しか返金されないという悲劇に見舞われた。