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インドシナ戦争とベトナム戦争におけるベトナム軍戦没者は数百万人に上る。政府は戦没者の遺骨捜索に巨額の資金を投じているが、多くの遺骨が遺族のもとに届けられないままとなっている。遺族は今も亡き家族の帰りを心待ちにしているが、そんな遺族の心理に付け込んで、「霊能力」による遺骨捜索を勧める許しがたい詐欺行為が横行している。28日付カムファーが報じた。
地元メディアの潜入取材によって今回多くの偽霊能力者による詐欺行為が発覚した。自称霊能力者たちは、「死者と対話することで、遺骨の眠る場所を探し出すことが出来る」などと語り、藁にもすがる思いで相談に来た遺族たちから、言葉巧みに金品を騙し取っていた。地元メディアによると、偽霊能力者は予め、動物の骨や歯、遺品に見えそうな品などを用意し森の中に埋め、その後、遺族立会いの下で発掘する。成功報酬として数百万ドン、高い場合は1億ドン(約46万5000円)を要求していた。
遺族の殆どは偽霊能力者を信用しきっており、遺骨のDNA検査を行っていなかった。DNA検査を希望する遺族に対しては「科学実験に遺骨を使うのは死者を冒涜する行為、もし行えば天罰が下る」と脅迫していた。
地元メディアが遺骨の真偽を疑う一部の遺族の許可を得て、DNA検査を行ったところ、遺骨は全くの偽物で、全て動物の骨や歯であることが判明した。これに対して、多くの国民が憤慨し、偽超能力者を厳しく処分するよう当局に求めている。
また、国家機関の一つである社会政策銀行傘下の労働組合も、ある霊能力者に遺骨捜索を依頼しており、1件当たりの成功報酬7500万ドン(約34万9000円)を支払っていた。この霊能力者は既に100以上もの遺骨を発見しており、社会政策銀行はこれまでに800億ドン(約3億7200万円)を支払ったことになる。
政府はこれについて、「政府は霊能力者による遺骨捜索を一切認めておらず、同行の労働組合が無断で行ったもの。一部の者が労働組合の資金を横領しようと画策した可能性が高い」としている。なお、今回の報道を受けて、グエン・タン・ズン首相は、真実を究明し違反した者を厳しく処分する方針を示した。