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7月21日にベトナムで公開予定だった米国のロマンティック・コメディ映画「バービー」について、当局はベトナム国内での上映を禁止するとした。
文化スポーツ観光省傘下の映画局によると、上映禁止の理由は、中国が南シナ海全域の領有権を主張するため地図上に引いている破線「九段線(牛舌線)」が劇中のシーンに映っているためだという。
中国は地図上に「九段線」と呼ばれる破線を引き、南シナ海ほぼ全域の領有権を主張している。九段線は、U字線または牛舌線とも呼ばれ、ベトナムの領海を含めた南シナ海全域を囲んでいる。
「バービー」は着せ替え人形のバービーを実写映画化したもので、グレタ・ガーウィグが監督・脚本を務めたほか、バービーを演じるマーゴット・ロビーが製作も手掛けている。
なお、2019年10月には、米中合作のアニメーション映画「アボミナブル(Abominable)」の劇中に「九段線」が映り込んでいたため、公開からわずか10日後に上映中止が決まった。これを受けて、文化スポーツ観光省は配給を担当したCGVに1億7000万VND(約100万円)の罰金を科した。また、映画局の一部の職員も処分を受けた。
2020年7月には、同じく「九段線」が問題となり、中国ドラマ「あったかいロマンス(Put Your Head on My Shoulder)」で該当のシーンがカットされた。2020年8月にも米国ドラマ「マダム・セクレタリー(Madam Secretary)」が同様の違反で処分を受けている。
2021年7月には、オーストラリアのテレビドラマシリーズ「パイン・ギャップ−諜報機関実録−(Pine Gap)」も、第2話と第3話に「九段線」が描かれた地図が映り込んでいたため、映像ストリーミングサービス「ネットフリックス(Netflix)」が配信を停止した。
さらに2022年3月、同じく「九段線」が劇中のシーンに映っているとして、米国のアクション映画「アンチャーテッド(Uncharted)」もベトナム公開前に上映中止が決まった。