初めまして、 タマ と申します。私のボスが連載している「 イベントオヤジの独り言/平櫛開三 」というコラムに、これから時々差し込ませていただくことになりました。私の同僚のイベント小娘「ゆずちゃん」と交代で時々登場します。どうぞよろしくお願いします。
さて、私ごとですがホーチミンに来て丸3年が経ちました。昼は日系イベント会社のスタッフとして、様々な企業様や日本に関連するイベント現場に携わりながら、夜は愛すべきホーチミンの酒飲みたちとの死闘を繰り広げ、時々は気まぐれで小さな飲み屋(最近はおでん屋さんも)をやったりしながら、楽しく暮らしております。ところが、この度会社からハノイ担当を仰せつかり、5月からハノイでの暮らしが始まることになりました。ハノイのみなさまどうか仲良くしてください。心地よい友人と酒場に支えられて、はじめて仕事に精が出る、そういうタイプです私。
酒場に限らず、飲食店には「イベント仕事をするためのヒントがたくさん詰まっているなぁ」、なんて事を最近改めて感じています。基本的にイベントの仕事は単発の現場が多く、打ち上げ花火のように一発で決めなければいけないような感覚が私にはあります。そして本番の何倍もの時間を準備にあてるわけですが、「イベント仕事って、ほぼ準備なんですよ…、ホホホ」なんて思いながら、日々粛々と準備をしています。そして、その準備の中で多くの選択を迫られます。本番でお客さんの反応をみて臨機応変に調整できる事ってすごく限られているため、想像力をフル稼働させ、本番の様子をイメージしながら、小さな選択を積み重ねます。準備期間が長ければ長いほど、本番のイメージがぼやけだし、本来の目的を見失いやすくなったりする事もよくある話です。 準備期間中の舵取りこそが私たちイベント屋の一番大切な仕事なのかもしれない です。だけど、そんなかっこいい事を言ってはみても、すぐに考えが煮詰まり、迫り来る期限の数々に舵取りどころじゃなくなるわけです。(私の場合)
煮詰まるといっても、誰かに相談したら、「なんで悩むの?」「どっちでもいいじゃん」と言われるような小さな選択のほうが、余計に一人で悶々とすることが多いです。赤がいいのか、青がいいのか、別にどっちでもいいのか、そんなことより他にやるべき事が山積みなんじゃないのか…。頭の中を無数の選択肢がループをし始めます。だけど、頭を抱えたままで何かが解決することや、ヒントを見つけることってあまりないですから、 そういう時は悩むことを一旦放置して、会社を出て街に繰り出します 。(私の場合)
お腹を空かせて、美味しいご飯とお酒を前にすると、毎日が「本番」である飲食店から見えてくることが沢山あります。日々お客様のニーズに応え、その土地の性質に合わせ、いい塩梅のテンションをキープしつつ、時代や流行も取り入れ、その店それぞれのこだわりを守り、日々店を維持する。そこには 待ったなしの「今」 が詰まっていて、それだけでも沢山のヒントが見えてきます。それに加え、みなさん「本番中」に悶々と悩んでいる暇などなく、テキパキと動きながら考え、店が終わってもまた明日やってくる「本番」に向け、短い準備時間で動きながら考え決断するスタイル。頭でこねくり回すより、 その時々の空気を読み感覚でスパッと判断することの大切さや、行動の早さがいかに大切か を再認識します。そして、私はというと、美味しいご飯とお酒に酔いしれ、なにかヒントを得られたような気持ちになり、気持ちだけが大きくなり、気がつくと明日のことも忘れ、1軒、2軒、3軒…と街を彷徨いつづけ、何を迷い悩んでいたかも忘れ、しまいには財布や携帯を忘れたまま帰宅する始末。こうやって人様に迷惑をかける日々です。これも大切なプロセスのひとつとご理解いただき、ハノイの皆様どうかお手柔らかに、お願いします。
<文責:AAB 五十嵐珠実>